3


私と現とが会えるのは、大抵月に一度か二度だけだった。

私の方は、義両親の体調が随分良くなったので、杖があれば大抵のことができるようになった養父に養母のことを任せて、少しであれば私が家を空けても平気だった。

それでも、ご飯だけはちゃんと作って食べさせてあげたかったので、現と会えるのは、いつも午後だけと限られていた。
たまに、どうしても現との都合が合わない時は、お昼を作っておいて、十時頃から出かけることもあったけれど、大抵はお昼過ぎから夕暮れまでの間と決めていた。

となり町にある現のアパートを、私が訪ねる。
一人で暮らす現の部屋には、アパートの一室だとは感じられないほどに洗練されていた。

額に納められた壁画のような物や、動物をモチーフにした鮮やかな配色の大きなイラスト。
ソファの下や、まるで壁から生えているような植物の隙間なんかに、さりげなく置かれたオレンジがかった間接照明や、全体的に低めの家具たちが、バリやプーケットを思わせるようで落ち着いた。
ひとつひとつを取るとどれも奇抜な物ばかりなのに、不思議とどれもが邪魔をしていなくて、凛としているようにさえ見えた。
そこには、現の頭に描いている物が凝縮されていた。