私たちの最寄り駅から家までは10分程度だ。


「今日も1日、充実充実!」


「お前に充実してない1日があるのかよ。」


「お昼ごはんに食堂のA定が食べられなかったらじゃない?」


「違います、違います。
私が満足しない1日は…チョコレート持って来てない日かな!」


「結局食いもんかよ!」


「まだあるよ!
学校の自販で抹茶オレが売り切れだったときとか!」


「それも食いもんだよ!」


私たちはこんな他愛もない話をしながら毎日一緒に帰る。

いつもかつもってわけじゃないし、約束したわけでもないけど
だいたい一緒に帰ってる。


「じゃあ、私たちはここで。」


「うん。また明日ね。」


私と翔は家が隣だから、帰るタイミングはほぼ一緒。
でもさくらの家はウチから5軒ぐらい先で向かい側。
向かい側っていうのは
ズラーっとウチや翔の家が並んでる。その向かいにズラーっと家が並んでる。
そこにさくらの家もあるって感じかな。


「今日は結構遅くなっちまったな、さくら、家までおくってく。」


え!超女の子扱いじゃん!!


「いいよ、いいよ!すぐだし!」


「いや、おくってく。」


「いいってば。悪いし。」


「俺がそーしてぇの。つべこべ言うな。」


ーートクン…ーー
え、何、今の…


「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?」


「あぁ、はじめからそうしてろ。」


「じゃあね、優希!」


「あ、うん!また明日ね!」