あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─

 
「それでも、なかなか出来ませんって。祭り(ちゅう)に一人で村の見回りだなんて。いや~!流石村長!……まま、そんでもワシらもここの見張りは頑張りましょうで!ここぐらいは守り抜かんと!」


一つ消えた疑問が、また一つ増える負の連鎖。

母さんの所在とここの連中の役割はなんとなくわかった。

けれど、じゃあ、アイツは?


「さあて。自分はちょっと一服させて貰いますよ」
「ああ、私も」


お酌が進むテーブルの脇で、人影が動く。胸騒ぎがした。こんな時にだけ冴え渡る勘が恨めしい。気に留めなければ良かったのに。母さんだけ、確認して帰っていれば良かったのに。


「――――――か」


テントから離れて、ゆらゆらと紫煙を燻らせながら溜息を吐く二人分の音、息遣い、大人の会話に、心臓が大きく軋んだ。


「森田さんはすごいなあ」
「ほんにな」
「私だったらあそこまでよう言えん。よう騙せれんよ」
「はあー…、藤川の奥さんも可哀そうに」


藤川の奥さんも、カワイソウニ?