あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─

 
(あれは?)


ようやく暗闇に目が慣れてきた頃、見付けてしまった。

四年前には見逃していたもの。

本殿から少し離れた場所にひっそりと立ててあるテント。

そこに居る大人達は、皆がみな面をつけているわけではなかった。それどころか楽しげに談笑している。由緒ある祭りじゃなかったのか?なんて、怪訝な表情を浮かべながら背後から忍び寄ると。


「ほれ、藤川の奥さん!じゃんじゃん飲みんさい」


母さんが、居た。


「まあ、私はそんなに飲めませんよ」
「わはは!そう言わずに」
「いえいえ、本当に。ほら、森田さんこそいかがです?」
「ワシの場合は女房に怒られてしまいますけんなあ」
「……あら~」
「ささ、もう一杯!」


(さなが)らその光景は、近所の寄り合いでの酒盛りとなにひとつ変わらないように見えた。正直、拍子抜けだ。もうすぐあの(・・)祭りが始まるというのに、ここの連中はなにを呑気にやっているのかと。


「我らが村長殿には毎年損な役回りをして貰ってるんだけえ、奥さんをしっかりもて成さんと!」
「いやですよ。あれはあの人が自分から言い出してやっているんでしょう?」