あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─



もう、なんだって一人で出来る。

そう思いあがって過信していた幼い心。らしくない親父の言葉がどうにも気になってしまい、俺は日付が変わる前に家を抜け出した。なにもなければそれでいい。なにもなければ、それで。

月明かりが照らす黒いアスファルトは、闇との境目がないように見える。暗くて、夏なのに冷え冷えとして見えて、気を抜くと(たちま)ち囚われて吸い込まれそうで、とにかく足を動かした。

走って、走って、走って。辿り着いた先は、あの日に見た異質な祭りが例年通り行われている神社。変わらない様子、変わらない雰囲気に、ぞくりと背筋が震えた。けど、違う。

今、ここにいるのは小学生だった俺じゃない。大人になった俺だ。

そんな風に勘違いをして、両親を捜した。幾らお面をつけていたとしても、自分の親ぐらいはわかるだろうと。


(……どこだよ)


乱れた呼吸を整えつつ近くの大木に手をついて目を凝らす。滝のように流れる汗は何度拭っても目尻から眼球に染み込んできて痛い。