あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─



心が、黒く、黒く、塗り潰された日。

それは、本当に突然訪れた。そうして俺は或る意味での村の因習を知る。あの祭りでの異様な光景が可愛らしく思えるほどの、悪夢。


「毎年のことだからわかっているだろうけど、今日は大人しく家にいるんだぞ。なんなら、聖くんや幸次くんを呼んで賑やかに過ごしたらいいじゃないか。今日(・・)は特別だからな。好きにしていいぞ」


胸に妙な違和感を覚えたのは、親父のこの言葉。

やけに穏やかな口調が疑念を呼んだ。いつもなら、友と遊ぶことにすら激昂していたのに。勉強、勉強、勉強、と。それが、うちに呼んでもいい?賑やかに過ごせ?おかし過ぎるだろ。


「じゃあ、行って来る」
志波(しば)さんに晩御飯は頼んであるからしっかりいただくのよ?」
「……わかった」


玄関先で交される、取り留めのない会話が気持ち悪い。

この感覚は何だろう?

十三歳、中学二年の夏。――千社守祭の夜。