しんと静まり返った境内。その中心で、轟々と燃え盛る炎を見つめながら呆けていると、服の端を遠慮がちに抓まれた。


「ちーちゃん、帰ろ?」


辺りを見渡せば、幸次達の姿はもうない。数分前に確かに交したはずの会話を思い出そうとしてみても、記憶は忘却の彼方。


「みんな、帰ったよ?後は私とちーちゃんだけ。…ね、帰ろうよ」
「ん、ああ……そうだな…」


もう少しこの奇妙な余韻に浸っていたかったのだけれど。

大人達に見つかるわけにもいかないので、美菜の言葉に大人しく従うことにした。月明かりの下、二人で並んで歩く帰り道。

ああ、まるで、昼間の焼き直しだな。


「……ちーちゃん、手、繋いでも良い?」


「ハイ」とも「イイエ」とも応える前に指に絡みつく温もりが、先程とはまた違う胸のざわめきを運んでくる。ドキドキするのはあの祭りのせい?あれの延長上のもの?――それとも。


「ちーちゃんと手ぇ繋ぐのって久しぶりだね。何だか照れるなあ」