あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─

幼馴染の六人と、そのなかでも少しだけ特別だった俺と美菜。


「今日は俺ン家に泊まるってことにしとくか。その方が色々とツゴウ良いだろ?」
「うん、ママもちーちゃん家って言ったら安心するからその方が良いね。楽しみだね、お祭り!……って、ちーちゃん何する気?」
「さあ?まだ秘密」
「え~?いじわるだなあ」


手こそ繋がってはいないものの、近過ぎる距離にいた二人。

美菜は物心がつく前に母親に連れられて、他県からやってきた外の人間だった。外の人間だからと言ってあからさまな迫害を受けたり村八分にされていたわけではなかったのだけれど。

それでも、美菜の母親の若さと美貌、父親が居ないということが有りもしない噂を呼び、彼女達を浮いた存在にしてしまっていたのも事実ではあった。そんな時、村長である俺の親父が〝なにかしら〟の切欠を作り、事態を丸く収めたらしい。

それ以来、藤川家と竜門家は家族ぐるみの付き合いをするようになったのだと。これは母親から聞かされた話だ。

今ならまた違う角度から柔軟に物事を捉えることが出来ていたのかもしれない。ただ、当時の自分には小難しい話であったし、重要な話だとも思えなかった。はっきりと言えるのは美菜は家族。

或いはそれと同等の存在。純粋にそう感じていただけ。


そう、そのまま、それだけで良かったのに。