あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─



道中、意外にも男は無口だった。

初見の軽薄でお喋りな印象とは真逆に、一言も喋らない。呼吸音ですらも気を遣うような重く刺々しい空気。

先頭に記者、次いで幸次と聖が並び、俺はそんな二人から五歩ほど下がった位置で、自分の規則正しく動く靴の先だけを見ていた。

天高く昇り始めた太陽が、容赦なく熱と光を降り注ぐ。

一歩、二歩、踏みしめるたびに首を伝う汗が、肌と服との密着を促して気持ちが悪い。いったい何処まで行く気なのだろうか。

なんて、本当は頭の端に答えが浮かんでいる。

偶然か、必然か。


「さあ、此処ならゆっくりと話が出来るね」
「っ、」
「それに思いのほか涼しいじゃないか」


男がぴたりと両の足を止めた場所。それは奇しくも俺達が元より行こうと決めていた場所。そう、――美菜が眠る森。