「いや~!救いがなさ過ぎてお腹の奥が気持ち悪う~」
「だよね、最後になにかあるかなって思ってたけど。……うーん、これはある意味で裏切られた感じ」
「まあでも安易にハピエンじゃないのは評価できる!」
「ははっ、それは確かに」


同じパンフレットを持ち、次々と小さな出入り口から出てくる老若男女の反応に口元を緩めた。賛否両論、どんと来いですけど。なんて、腕を組みながら踏ん反り返ったところで優しく頭を叩かれる。


「……顔、怖いって」
「そう?いやいや、それより遅すぎでしょ!――千秋」


名前を呼ばれ、僅かに微笑んだあと。視線で誘導しようとするのは私の旦那さま。その誘導に素直に従えば、幸せが待っている。


「わー!さーちゃん久しぶり!」
「よーす!早紀」
「変わらないな、早紀も」
「いや、それ聖が言う?聖こそ全然じゃん!」
「綾もな?」
「うわっ!でた!天然たらし!!」


懐かしい空気、懐かしい顔ぶれ。


「あっはは!……ほんとうに久しぶりだね、みんな!」