「父さんと母さんは表向き、事故死扱いになっているらしいけど、でも、多分、」
そこまで言葉を唇に乗せると、聖は顔を伏せた。
「母さんが、父さんを道連れにしたんだろうな」
外されたままの視線が哀しい。
俺、やっぱり馬鹿だ。なにも知らなかった。なにも、なにも。
「早紀の手紙、な、……俺が書かせたんだ。まあ、まさかあんな小細工をされているとは思わなかったけど。でも、良い起爆剤にはなっただろう。後悔、しただろう?」
フラッシュバック。
『ゔああああぁぁあ゙あァァ!』
そうか、俺はまた一人で勝手に勘違いをして、本当に馬鹿だ。
あの時、早紀はどこを見ていた?なにに怯えていた?よく思い出せ。彼女の視線の先には、聖がいたじゃないか。
「早紀や綾がしていたことも、千秋、お前がしていたことも知ってたよ。全部、ぜんぶ。俺は知ってたよ」



