あの夏、俺達は罪を穴に埋めた。

決して赦されることのない過ちを犯した夏。
美菜と一緒に封印した想い、埋めた心。

美菜は儀式の過酷さから逃げ出したということにされ、その全ては有耶無耶に。義務教育を終えた、親に捨てられた彼女を本気で探し出そうとする人間は千社にはおらず、都合が良かった。


この年の千社守祭は行われていない。

年寄り共は呪いが解けただのなんだのと喜んでいたようだけれど。違う、もっと酷いことが先に起こっただけだ。人が一人殺され、美菜が犠牲になったから。だから、なにもなかった(・・・・・・・)だけだよ。


嘘と、後ろめたさと、共犯という呪縛。

そうして俺達は、五人で集まることを止めた。
自然と避けあうようになり、そのまま別々の道を歩み始める。


『ちーちゃん』


夢だったら良かったのに。

全部、全部、夢だったら幸せだったのに。柔らかく微笑む彼女と、手を繋いで歩いた田舎道。振り返れば、いつものメンバー。


『ちーあき!』


もう、戻ることの出来ない幻。