美菜が窓越しに見ていたもの。
ブレザー姿で自転車を漕ぐ聖。隣町まで汽車で行けばいいものを、少しでも祖母に負担を掛けまいと自転車通学を選んだ聖。
学校だってそう、奨学金制度のある所を選んだ。本当に叶わない。
俺になくて、聖にあるもの。俺が出来なくて、聖が出来るもの。そして、俺には永遠に手に入れることが出来ない心。美菜の、心。
「……やっぱりな」
「ちーちゃん?」
眉を八の字にし、身を引く美菜に背を向けた。握り締めた拳が痛い。ひと一人分の足音を自分の耳に入れながら、長い廊下を進む。
夏休み目前の七月下旬。
美菜が神人になる儀式に入る前、幸次も地元に帰って来て、皆が集まる千社守祭の、前。――俺の理性はぐちゃりと潰れた。
ブレザー姿で自転車を漕ぐ聖。隣町まで汽車で行けばいいものを、少しでも祖母に負担を掛けまいと自転車通学を選んだ聖。
学校だってそう、奨学金制度のある所を選んだ。本当に叶わない。
俺になくて、聖にあるもの。俺が出来なくて、聖が出来るもの。そして、俺には永遠に手に入れることが出来ない心。美菜の、心。
「……やっぱりな」
「ちーちゃん?」
眉を八の字にし、身を引く美菜に背を向けた。握り締めた拳が痛い。ひと一人分の足音を自分の耳に入れながら、長い廊下を進む。
夏休み目前の七月下旬。
美菜が神人になる儀式に入る前、幸次も地元に帰って来て、皆が集まる千社守祭の、前。――俺の理性はぐちゃりと潰れた。



