あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─

自分だって子供だったけれど、同じように美菜だってただの子供だったのに。なにを期待していたのやら。ほんと、学習しねえな。


「……ごめ、ごめんなさ…い、ちーちゃんの気持ち、全く考えてなかったわけじゃないよ?でも、私も……お父さんが、欲しかったの…」
「はあ?」
「ち、ちーちゃんのお父さん、私とママにはすごく優しかったから、だから、つ、強いし、楽しいし……えっと、だから…」


小さく、ブツブツと的を得ず喋る美菜に苛立ちが募る。


「ちーちゃんが……引き籠ってたのって、もしかして……私の、私と、私のママのせいなの?」
「ハッ」


それ以外になにがあるっていうんだよ。

俺の声を聞く度に、一々怯える態度が気に喰わなかった。なにも知らなかったという素振りが、気に喰わなかった。


「案外、美菜ってバカだったんだな?……わかるだろ、なあ!」
「っ゙、うぅ……ごめっ、ごめ……なさ、い…そんな、私のせいだなんて思ってなくて、ほんとに……っ、ごめ…」


今更、謝られたところで遅いよ。

遅いし、もう、駄目だ。感情が定まらない。止まれない。

愛情、憎悪、執着、嫉妬。

どろどろに溶けだした鈍色(にびいろ)の塊は、その形を自らの意思をもって失ってゆく。自分の体温さえ、感じない。