あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─



罅割(ひびわ)れてしまった基盤が真っ二つに割れたのは、皆で笑うことをしなくなった春。田舎の厳しい冬を越え、受験も終わった本来ならあたたかで晴々しい出逢いの季節に――。


「今日から美菜ちゃんはうちで引き取る。いいな?」


まさに青天の霹靂(へきれき)


「ああ、別に構わないよ」
「……なら、良かった」


美菜の母親が、美菜を捨てて何処かへ消えてしまったのだ。

それを何故、親父が引き取るなどと言えたのかはわからない。けど、まあ、脅されたのか、村の人間になにかを言われたのか。まず間違いなく己の保身に走ったには違いないのだろう。くだらねえ。


「今日からよろしくお願いします…」


丁度、退屈をしていたところだよ。

高校へ入学と同時に六人はバラバラになってしまう。揃って会うこともなくなるだろう。それこそ、次に六人が揃うのは千社守祭だ。