あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─



「変わらないな、ここは」


ずっと無言で進んできた山道で、ふと口を継いで出た言葉。

濃く、絵の具で塗り潰したような緑。子供の頃はそれこそ自分達の庭だとさえ思っていた。特別な、場所。特別な、秘密基地。


「本当に、嫌になるぐらいここは変わらない」
「……そうだな」
「時が止まったままみたいだ」


(こうべ)を垂れ、両手で顔を覆う聖の表情は読み取ることが出来なかった。じわりと背中を中心に広がる汗の粒がシャツにはり付き、暑さを強調してくれる。変わらない風景と、変わってしまった俺達。

〝あの日〟の自分が今の俺の姿を見たら何を思うのだろうか。もう二度と帰らないと決めていた場所へと無様に戻ってきた自分を。



『ちーちゃ、ヤ、だ……嫌だ、よ…』