「聖菜こそヒドイ女だろう?」
(セイナ、セイナ…?)
一番恐れていたことが現実になってしまった。ずっと、引っ掛かってはいたんだ。浮気をしているとして、相手はいったい誰なんだろうって。ああ、もう、本当に、本当にどうしようもない。
「……は、っ、ハア、私はただ、正尚さんが、好きなだけ…よ?んっ、ねえ、どうしてこんなに、いい場所、祭りの日にしか……っ、あ゙!…使っちゃ、ダメなの?もっと……ここで、シたい…」
セイナ、
竜門聖菜。彼女は――美菜の母親だ。
食い縛っていた歯が、ゆるりと圧を失う。
「こちらにも都合があるんだ、弁えろ。それに、年に一度というのが逆に燃えるんじゃないか。まるで織姫と彦星みたいだろう?……ハッ、だから今日はいつもよりとことんまで可愛がってやる」
やっぱり貴方はひどいヒト、そう呟いて女は一際高い声を上げて仰け反った。二つの獣じみた呼吸音が混ざり、追い打ちをかける。
(死ね)
死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねしねしねしねしねしねしねしねしねしねシネ!



