次の日の朝、僕は緊張しながらも
屋上へ行く。
そこにはいつも通り奈留がいて

「おはよう」

って笑顔で言ってくれる。
この笑顔は安心しきった笑顔だ。
僕は

「大事な話がある」

と真面目に言った。
すると彼女も察したのか真面目な表情で
こっちを見つめる

「お前...何者なんだ...?」

すると彼女のどこか余裕のある顔とは一変、
目つきを変えて言った。

「幽霊...だよ。きっと私は君にだけ...そう見えてる...他の人から見れば黒髪の薄汚れたおばけ」

...僕はしばらく何とも言えなかった。
僕には薄汚れたなんてどう見てもそうは見えなかったからだ。
僕はただただ唾を飲むだけだった。

「へへっ...」

と何かを失ったように悲しく笑う奈留。
僕は胸が苦しくなった。
そして初めて実感した

『非日常が日常になっていた』

ということを

僕は...ゆっくり階段を降り
瞬きをしたら涙が流れるほど目に溜まった
涙を拭い、走って帰った。
なぜ泣いているのかわからない。

まるで彼女の弱点を初めて知った。