そして何週間かして...
僕は授業をサボリに屋上へいく。
僕は彼女を幻だと思って忘れていた。


頑丈な屋上に行くまでの扉を開け
心地よい風が吹く屋上へ上がる

いつの間にかここで昼寝をするのが
日課になっていた。

僕は珍しく2時間も熟睡していたみたいだ。
っと気づけば頭が何か柔らかいものに
包まれているような感触。
...恐る恐るゆっくり目を開く
すると...そこには彼女がいた。

あの彼女が僕の目の前に移りこんだ。
彼女は不思議な笑みを浮かべ。
突然僕を座らせ手を差し出して

「私と友達になって」

とまるで子供のようなどこか純粋で無邪気さのある表情で言ってみせた。
僕は混乱状態。
なんと言ったらいいかもわからず
とりあえず首を上下にゆっくりふって見せた。
すると彼女はいきなり僕に抱きついた。


『これが僕が初めて異性に
恋愛感情を持った瞬間だった。』

この暖かみは初めてだ。
家族からも友達からも感じた事はない。
...どこか懐かしみのある感情だったようにも
感じたが...それはきっと偶然だろう。

気づくと彼女は居なかった。
チャイムがなり僕は教室に戻る。
なぜか温もりが思い出せない。
それ以降僕は彼女のことしか頭に無かった。

「ねぇ、美琴くん!ねえってば」

...これは隣の席の...確か...中島さんだっけ...
いつの間にか寝ていたみたいだ。

「...ん」

僕は不機嫌ながらも気を使い少し笑って
みせた。
そして6限が終わり皆は
部活へ行くなり帰るなりする。
ただ僕は一人で階段を上がり
屋上へ上がる。

すると彼女は屋上の端で寝ていた。
寝返りをうったら恐らく落ちるであろう。
僕はそっと彼女を抱き安全な所に寝かせる。


彼女を抱いた瞬間...僕凄いことに気づいてしまった。
...彼女には重さがない。という事に
まるで綿菓子と変わらない重さだった。
あったといえば制服の重さ。
しかも冷たい。
氷を触っているのと変わらないくらい。
一瞬触ると悴むくらいに冷たい。

彼女が目を覚まし僕を見る。
そしてニコリと笑い座って

「おはよう美琴」

と何週間前に出会ったばかりの名前も知らない何も知らない少女に親しく話かけられる。
僕にはそれがとても不思議だった。

そしてその不思議な彼女に恋をしてしまった
自分が一番...不思議であった。