「弾、だーん!早く起きないと遅刻するわよー!!」
朝の風景に相応しい台詞が、向こうの部屋から響き渡る。
その声は、一人分としても少し窮屈な部屋でスヤスヤと寝息を立てている少年に向けられた言葉だが、肝心の少年の耳には届かず
ただ気持ちの良さそうな寝息しか返ってこない。
小柄な体で布団をはね除け、少し大きめの目は"只今夢の中"と言うように瞼のシャッターが閉められている。
そして窓から射し込む日の光は、銀色のウルフ髪をキラキラと照らしていた。
この光景を一言で表すなら、"子供の狼がお腹丸出しで日向ぼっこ"が一番しっくりくるだろう。
「だーん!」
「すぅー………」
「弾ちゃ〜ん!」
「…ん〜…む………」
「だぁーんのぉーすけぇー!!」
「………ぐぅー…」
「起きろっつってんのが解んねぇのかチンカスがぁぁあ!!」
「誰がチンカスだクソババァあ!!」
母の怒声が目覚まし時計。
これが、少年の日常である。
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