「ひっでぇぇーーー!!!じゃあ俺……キレ損!?」
「まぁ、そんだけ俺の演技力が素晴らしいっちゅうこっちゃ!!」
「…なんだよそれぇ……」
カッカッカッと至極楽しそうに笑う謳花に、弾は力なく肩を落とした。
安心半分、残りの半分はまんまと騙された脱力感。
存分に笑い終わっても肩を落としたままの弾に、謳花は優しく苦笑した。
「……損なんかやない。」
「えっ?」
「あそこで弾がキレてくれんかったら、本気で耐えられんくなってたやろうし…それに、俺の為に必死になってくれたんが嬉しかった。」
そう言ってニッと笑い、謳花は弾の頭を優しく撫でる。
弾の一番好きな仕草だ。
「………っ謳花ぁ!!」
「"おうかぁ〜"じゃねぇぞ諷真[ふうま]、菅原!!」
窓ガラスがガタガタと震える程の怒声を響かせて近付いてくる人物に、二人の顔色は真っ青に染まった。
「「げっ!ナタティー!!」」
「ナタデココ違う!中田先生だ!!お前ら…今が何の時間か解ってるのか?」
「………1限目の授業中で〜す。」
「正解っ!!」
***
「やだナタティー…こんなの…ッ恥ずかしいよぉ…っ!!」
「ナタティーっ、いくらなんでも許されへんでこれは…弾を解放せぇ!!」
「ああッ…痛い!ナタティー……もっ、ゆるして……」
「ッ弾!イクなっ…イクな!弾ーーー!」
「紛らわしい声で紛らわしい事を言うな諷真ぁぁあ!!!そして菅原もノルな!!」
顔を真っ赤にして怒鳴るナタティーに、クラス中がドッと笑いに包まれる。
しかし、弾と謳花の言葉もあながち間違いではない。
今の二人の状況は、遅刻&授業中にも関わらず騒ぎ立てた罰により、黒板の横で正座をしいたげられているのだ。
そりゃ(見られて)恥ずかしいわ(足が)痛いわ(意識が)イッちゃいそうだわで大変。
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