アパートに帰ってからも、
ずっと、考えてた。


お風呂に入り、気持ちを落ち着かせるため、アロマを焚いた。

「良い香り〜。癒される〜!」

濡れた髪を拭きながら
冷蔵庫から、炭酸水をだしコップに入れ
クッと飲んだ。

「ふう〜。はぁ〜。」

プルプルっとスマホが震えて
呼び出す。

「はい…。」「あっ、みさき?俺!
今、大丈夫?」

「うん…。剛くん。どうしたの?」

「渡したいものがあるからさ!今から
そっち行くね」

「えっ?もう…遅いし、…それ…プー
…。」

切れてしまった。

わたしは、慌てて髪をお団子に結わえ
伊達眼鏡でノーメークを誤魔化した。
はぁ〜。どうしよう!


おどおどしてたら、ピンポン〜、


「えっもう来たの?」

ドアを開ける。

ガッっと引かれ、
「確認してから開けろよ!」
その人は…剛くんじゃない…。
「奏?なんで?」

びっくりしてドアを閉めようとした。
「まてよ!話がある。」
「私は…ない!!」

バタン、とドアが閉まり
カギをかけた奏。

ぎゅっと抱きしめられて
「みさきに見せたいものがある。」
ジャケットのポケットから出したのは、
小さなケース。
中から、可愛いペンダントネックレス。

「あの時、渡しそびれたんだ。付き合って初めての誕生日プレゼント。
高校生の俺には精一杯だったけど。」

「奏…。ごめんね。勝手に勘違いして
勝手に離れてしまって…。うっボタポタっと落ちる涙。
「やっぱり、可愛いよ。みさきは。
もう一度、俺と恋してくれないか?」

私の心は、あの時から止まったまま
だったんだと…。今更ながらに
気ずく。

自分では、終わったんだと思い込み
本当の気持ちから目を背けて
剛くんで隙間を埋める最低な女!

「奏?私…。今も、きっと奏が好きなんだと思う。でも…でもね。剛くんを
裏切るなんて…出来ないよ。」

「じゃ、みさきは自分の気持ち隠して
これからも、松田と付き合って行くって
言うのか!」

「違うよ…。奏とは、上司と部下に。
剛くんとは、ただの友達に戻るだけ…。
私のことで、2人を苦しめるなんて
絶対嫌だから…。」

みさきは、声を絞り出すように
話す。
時折、涙で言葉を詰まらせながら。


ドアが開いた。
そこには、剛くんが…。

「みさき…。何で?こいつ、誰だよ!」

「違うの!会社の…」
私を遮るように、奏が
「悪い。みさきは、返してもらう!」

「ふざけんな!俺の彼女なんだよ!」

冷たい視線がぶつかる。

「二人とも帰って!お願い!!」

こんな風にしてしまったのは、私のせい

奏、剛くん、ごめんね。


次の日、私は、会社を休み

ある場所に来ていた。


「みさきちゃん!これ、窓側のお客様だよ。」

「はい!お待たせしました。」