杏子ちゃんの喋りから、本当に感動したんだなって伝わってくる。

ご飯が食べれる幸せか。

澪が言ってた。

おねえちゃんが帰ってきたら、澪もママのお手伝いしておねえちゃんのご飯作るよ!って。

どんなにおいしいだろう。

私を思う愛情がいっぱい詰まった、ご飯って。


「なんか、泣きそう」

「もー、紗菜ちゃん泣き虫ー」

「家族のこととか、いろいろ考えちゃって」

「もうすぐだよ」


こんなにも退院が待ち遠しくなるなんて。そしてその理由が家族にあるなんて。

夢みたいな話だ。入院前の私にとっては。


「そういえば、杏子ちゃんは退院の話とか出てるの?」

「うん、来週末くらいには退院できるって」

「おぉ!良かったね!」

「採血の結果も安定してきてるみたいだから、点滴も明日には外すみたい」

「そっか、点滴も外れるんだね」


いつも横にいるのが当たり前になっていたから、少し驚いた。


「退院しても引っ張って歩くとか、絶対嫌だよ」

「私も嫌だ」


私にもその日が来るんだなぁ。

杏子ちゃんの表情が日々明るくなっていってるのを感じてたから、すごく楽しみ。


「退院したら、絶対ご飯とか行こうね」


言ったのは私。


「うん!紗菜ちゃん住んでるとこにも行ってみたい!」

「だったらうち泊まってって!多分、澪も一緒に寝るー!って来ると思うけど」

「大丈夫。私、弟しかいなくて、妹に憧れてたから大歓迎だよ!」


何でも話せて、日を追うごとに自分をさらけ出せるようになっていく。

杏子ちゃんがいてくれたから、私は毎日本当の自分に気づかされた。

きっとこれからも。