紗菜ちゃーん、と呼ぶ声がしてカーテンが開くと、杏子ちゃんが顔を覗かせていた。

今日は賑やかなのが来るから、抵抗なかったら遊びにおいでよと言っていたのだ。

抵抗なかったら、の話。

でも、莉乃も割と誰とでも仲良くなってしまうタイプだし、友達を紹介したかったっていうのもあるし。


「メールで言ってた杏子ちゃん。同じ病気の子で、暇な時は話し相手になってもらってるんだよ」

「おぉ!紗菜と雰囲気似てる!」


納得して驚いているのは、神崎先生がそう言ったんだと教えてあげていたから。


「私、紗菜の同級生の莉乃!」

「はじめまして!紗菜ちゃんにはいつもお世話になってるよ」

「病院ではどんな感じなの?学校だと重度のツンデレで困ってるんだよー」

「ツンデレー?ぜんぜんそんな感じしなかったよー。いつもニコニコしててやさしいし。たまに天然だし、面白いし」

「紗菜、私にも優しくしてよー」


頬を膨らます莉乃は、素直でかわいいと思う。

私に言わせれば、莉乃の方が十分私の母性をくすぐってる気がするっていうのに。


「わかったわかった。退院したら考えるよ」

「えー?いつ退院するの?それまで心が持たないよー優しい紗菜がいいー」

「こんな友達だけど、よろしくね」


仲良いんだね、とにっこり笑う杏子ちゃんに莉乃が、そうでしょー?と調子に乗る。


「紗菜、私には素直じゃないから、杏子ちゃんからちゃんと言っといてね」

「了解。退院したらきっと、優しい紗菜ちゃんでいてくれるように言っとくから」

「ありがとー!てか、杏子ちゃんも紗菜と同じ病気なの?」

「うん!紗菜ちゃんよりちょっと先に入院してたから、治り具合はちょっと私の方が進んでるんだけど、だいたいおんなじくらい」


私の状況を知ってるからか、莉乃は杏子ちゃんに、大変だったよねーと同情の言葉を向ける。