「紗菜、本当に大学行かないの?成績良かったじゃん」
「んー、別にやりたいこともないし」
本当は、教師になる夢があった"気がする"。
でも、お父さんに学費を援助してもらうという関わりさえ嫌で、早く独り立ちしたいと思うようになった。
だから私も、進学なんて諦めて家から近い高校に進学したんた。
「もったいないと思うなぁ。ていうか、紗菜のその性格は何かに生かせるんじゃないかなって、私ずっと思ってた」
私の性格。ってどんなだろう。
家にいるときの、あのつれなくて冷たい私?
莉乃や夏美といる時の私?
優奈ちゃんといる時の私?
江口先生と話してる時の私?
看護婦さんと話してる時の私?
「ねぇ、私ってどういう性格してるのかな」
客観的に見て、どこにいても共通してる"私"って、どんな人間なのかな。
「紗菜は、ちゃんと芯を持ってる。でも恥ずかしさとかが邪魔して自分を出せない時もあるかな。でも一生懸命になった時の紗菜はてこでも動かない強さがある」
莉乃はそう言った。
「私もすごく真っ直ぐな性格してると思うけど、優しいとこもあるし、自分より他人主義だし、大事な誰かのために何かするって時は、すごく頼りがいがあるなって思うよ」
夏美も迷わずに言った。
自分のことってわからないものだな、と考えていると、二人で相談を始める。
やっぱり、"他人主義"だったんだな。
自分のことは二の次。
そうしないと、私は愛されないんだと思い込んでいたんだ。