柚ちゃんと小さな声で話している間に会長の話は終わり、いつの間にか式も終わっていた。

教室に戻り、担任の先生からいろいろな話をされ、今日は下校となった。

「ねえ千尋ちゃん、このあと暇?千尋ちゃんと色々話したいから、暇だったらどっか寄っていきたいなー・・・なんて!」
「・・・そ、それって寄り道?ってこと?」
「寄り道って小学生じゃないんだから!・・・まあ寄り道みたいなもんか。あ、もしかして暇じゃなかった?」

中学校3年間、高校1年間、人にどこかに誘われることなんてなかった。4年ぶりに私は、今、誘われている。話したいと言われている。

「ひ、暇だよ!全力で暇!私も柚ちゃんとお、お話したい!」
「全力で暇って・・・千尋ちゃんおもしろいよね。なんか天然?っていうか、抜けてる ?っていうか。」

柚ちゃんがケラケラ笑いながら言うものだから、恥ずかしいことを言ったのかとまた少し自己嫌悪に陥っていると、

「よし、じゃあとりあえず近くのお店でなにか食べながら話そっか!」

と、提案してくれた。
放課後に友達と寄り道するなんて、夢みたいだ。
きっと私の顔は今、頬が緩んでにやついているだろう。それほど柚ちゃんからの誘いは嬉しかったのだ。