臆病者の鬼遊び

 


花代さんが、涙を浮かべている。
 

自分を支えている倫太郎の顔は、逆光で見えなかったが、


「――この馬鹿っ! 

もう少しで死ぬところだったんだぞ!」
 

雷を落とすように怒鳴られた。
 

七海子は、びくりとなってから、ぼんやりとした頭で考えた。


「私……えっと……」
 

自分は確か、押し入れの中にいた。
 

……それなのになんで、今は浴槽の中で、水風呂につけられて、倫太郎に怒られているのだろう。
 


夢? 


夢にしては、水の冷たさがやけにリアルだ。


あと、パンツがゆらゆらと肌にあたる柔らかい感触が、すこぶる気持ち悪い。
 


加えて、口の中が甘いのが不可解だった。



まるで、飴でも舐めたように甘い……。