臆病者の鬼遊び

 



考えたくなくても、倫太郎の存在は、彼女の心を抉るように刺さっていた。
 

――気が付くと七海子は、押し入れの中にいた。


狭くて真っ暗で、湿気が凄かった。


だけど、膝を抱えてじっとしていると、やけに落ち着いた。


息苦しいのも、蒸し暑いのも、まるで気にならなかった。


それでいいと思った。


そっと、目を閉じる。


何もかもから切り離された空間に、安堵した。


……自分が生きているのか、分からなくなるほど……。


ふと、仕舞いこまれたまま忘れられた、人形ってこんな気分かな、なんて思ったりした。


しかも、この状況があまり苦ではなくて、自嘲する。


逃げ出したい気持ちが大きいのに、家出する覚悟も無く、七海子はここにいる。

情けない事に。


(私って、嫌なやつ……)


やがて七海子は、そのまま眠ってしまった。