証拠に、倫太郎は毎日欠かさずテレビのニュースを見ていたし、
さりげなく新聞の、例の事件の部分を開いて放置しておくという事を繰り返していた。
「忘れるなよ」という脅しだ。
彼女が倫太郎に大きな事が言えないのは、『鬼』退治が嫌だからに他ならない。
七海子はカウンターに戻ると、同じく作業を終えて荷物をまとめていた山上君に、
「今日は、私が鍵返しておくから」
と宣言した。
わざとらしくならなかっただろうか、と不安に思いながらも、山上君は実に軽く、
「あ、ほんと? サンキュー」
と、手を振って出ていった。
これから、部活に合流するのだろう。
(真面目だなぁ……)
目的意識が高く、何にでも全力で取り組む山上君は、
彼女にとって、まぶしい存在だった。



