これはこれで、口から心臓が飛び出すほどの恐怖を感じた七海子は、
大きく息を吸おうとした瞬間、何故か急に、彼に口を塞がれた。
勢いで後ろの本棚に頭をごちんとやり、痛さに顔をしかめる。
「………んっ!?」
「騒ぐな……」
お腹にずん、と響くように低い声で言われた。
必死に手を動かして抵抗を試みるも、一向に放してくれないので、やめた。
両手をだらりと降ろすと、やっと解放して貰えた。
ぷはっとなる。
「……騒ぎませんよ」
「そう見えなかった」
「すいません」
どうして自分が謝っているのかな、と首を傾げた七海子だったが、倫太郎が言った。
「こんなところで、女に大声出されて、これ以上……周りからあらぬ誤解を受けるのは、御免だからな。
せっかく見付けた快適空間まで、いられなくなったら困る」
口振りからして、どうやら彼は先生達から、危険視されているらしかった。



