臆病者の鬼遊び




最後の一冊は、カウンターの裏側に近い、古い本ばかりが並ぶ場所だった。


俳句とか、全集なんかがある奥まったスペースで、常にどこか薄暗い。

正直、あまり人が立ち寄らない箇所と言ってよかった。


生徒がここの本達に厄介になるのは、現代国語や古典の課題に、よっぽど行き詰まった時くらいのものだ。
 

背表紙に書かれた番号と、書架にぶら下げられたカードに目をやりつつ、……七海子はそこで何かを踏んだ。


(………!?)
 

思わず、叫びそうになった。
 

散らばった本の中に、人が倒れている――!
 

しかし、驚きながらもしゃがみ込むと、倒れているその生徒は、


角が生えていて、いかにも迷惑そうな様子でこちらを振り返った。



「り、倫太郎君……」


「……なんだよ」


本を読み散らかして、しかも床に寝そべってくつろいでいたのは、倫太郎だった。