臆病者の鬼遊び




七海子は、図書室の引き戸をがらりと開けた。


ずらりと並ぶ長机。

しかし、そこには本を読む生徒もいなければ、勉強をしている生徒もいない。


放課後の利用者は、少ないのだ。ほとんどいないと言ってもいい。


理由はたくさんある。


まず、図書室の立地が悪い。


家庭科室とか、コンピューター室なんかがある、特別管理棟の四階なんて、皆行こうとしない。


教室棟から一番離れている上、建物は一階と二階の渡り廊下で繋がっているのみなので、図書室に行くのにはえらく時間がかかる。


そしてもう一つ。


生徒のほとんどは皆、放課後になると、部活やバイトに行ってしまうのだ。


勉強したい人は勉強したい人で、進学塾に通う。