臆病者の鬼遊び

 


一人がつい、凄まじく声を張り上げてしまい、教室の端の席にいた倫太郎が、こちらをじろりと睨んだ。


気を悪くしたらしい。

倫太郎は食べかけの弁当を持ったまま、教室を出て行ってしまった。


 
と、教室に自由な喧騒が訪れた。


「今の、すっごく感じ悪ぅい!」


「まったく、何が気に入らないのよねえ……」


「七海子、あまりきちんと言うこと聞かない方がいいって。

なめられるよ」


(もうなめられてるよ)


学校生活は、毎日の変化が少ない、限りなく平坦なものだ。


だから皆、抵抗するようにやたらとテレビを見たり、芸能人に詳しくなったりする。
 

倫太郎の登場は、良くも悪くもインパクトが強すぎて、もう皆そのことで頭がいっぱいだった。