耳がきぃん! となって、七海子は目をぎゅっと瞑った。
「なんでなんでなんでー!」
「嘘ぉーっ! どうして!」
「か、家庭の事情っていうか……」
「親戚ってこと?」
「うん、従兄……一応……」
しどろもどろだけど、何とか、きちんと答えられている。
七海子は一生懸命、誤解を招かないように、倫太郎と自分の関係を説明した。
「どうして、七海子はあいつに敬語使うの?」
「……あっちが本家で、うちが分家なの。
私達の家は、古いしきたりとかが残ってるから、あっちのがね、立場的に強いんだ……」
皆、身を乗り出して聞いていた。
「『ブンケ』、ってなに?」とか「今時、そんなのあり?」なんて、何人かが顔を見合わせる。