教室に戻った七海子は、鞄から自分の弁当箱より大きな包みを出すと、


昼休みが始まったことも知らずに目を瞑っている倫太郎のところまで行き、そっと机に置いた。


その行動を見ていたクラス中が、息をのんだ。
 

見られている、と意識した瞬間、体中がカッと熱くなった。


急に、あたりがしーんとしだす。

嫌だな、こういうの……。


しかし、もういいのだ。


「これ、花代さんからです……」
 

耳打ちくらいの小さな声で告げると、倫太郎は、ああ、と気の無い返事をして、包みを解き始めた。


それを見届けてから、七海子も自分の机に戻る。