ただ、その先輩はその外人風の容貌と同時に、性格がめちゃくちゃに悪いことでも有名だった。


実にもったいないことだと、七海子は廊下でその先輩を見かける度、ひそかに残念に思っている。
 

先輩は、甘ったれたような口調で、今付き合っているらしい男の子の悪口を言っていた。


それが結構どぎつい大人の話で、七海子とまっちは眉をひそめる。
 

そして先輩は廊下を通り過ぎる刹那、ちらりと倫太郎の話をした。
 

昨日の今日で、もう他の学年にまで噂が及んでいるのか、とびっくりする。
 

先輩は倫太郎を、「こんな時期に転校だなんて、何やったんだって話だよねぇ……」と評した。


その時はっと、倫太郎の転校は自分のせいなのだ、と気付いた七海子は、急に悲しい気持ちになった。



加えて、先輩に対する暗い感情がこっそりと芽生える。


なにも知らないくせに、勝手な事を、言わないでよ……。