彼女は、大きな欠伸をした。
大声を出したのに、まだ眠い。
時計を見ると、先生が来るまであと十五分あった。
……ひと眠りしてしまおう。
七海子は、腕を組んで枕にした。
そうなると、教室のがやがやとした喧騒は、もはや子守唄だ。
「ねえ、昨日のあれ見た?」
「見た見た、ノッキの叫び方が傑作でさ……」
「おい、俺が貸したゲーム、今日持ってくるって言ってたじゃんか!」
「だから持ってきたって……げ!
悪い、中身忘れてきた……」
皆、競うように大きな声で喋っている。
だけど、しんと静まり返っているよりも、落ち着く。
しかし、
「……一昨日ので、四人目でしょう?」
ちくりと、不穏な会話が耳に刺さった。