しかし、木崎家・現当主の次男坊である木崎倫太郎は、最初から七海子が自分の従妹だと知っていたらしく、
七海子の慌てふためく様子を眺めて、実に呆れたように溜め息を吐いていた。
『木崎』の本家には、とにかくたくさんの人がいる。
何しろ、家を継いだ人間に近い親戚筋の者が、ごっそり住んでいるらしいので、
例えばお正月などに顔を出しても、それが自分とどういう関係にある人なのか、まるで分からないのだ。
おまけに、旅館の中居さんのような着物で武装したお手伝いさん(使用人、というらしい)がわんさかいるので、
それらすべてをひっくるめて、七海子は本家は『人でいっぱい』という認識しかしていなかった。
ともかく、七海子は困っていた。



