もし、これが一年目の夏だとしたら、まだ同じクラスの男子の目が気になったかもしれない。


しかし、お互い二年目にもなってくると、案外そんなものはどうでもよくなってくるのだ。


中には、スカートの中を直接プラスチックの下敷きで煽ぐ猛者もいたが、さすがに七海子もここまではしない。
 


ともかくこの日、七海子は寝不足だった。


原因は、夜更かしである。


昨日は、夜遅くまで『吾輩は猫である』を読みふけっていた。


それは趣味ではなく、今年の夏休みの読書感想文のためだった。


図書委員である七海子は、仲良くなった司書のおばさんに、


何故か執拗に『吾輩は猫である』を勧められ、それで感想文を書くと約束してしまったのだった。