人間の自惚れに苦言を呈したかと思えば、興味半分に食べた餅のせいで踊るはめになり、
家中の人間に笑われるわ死にかけるわで散々だったり。
かと思えば、景気づけに美人猫のところへ行って、見惚れたりお世辞を言ってみたり。
この猫は、格好付けだな、と思う。
……しかし。
「……うーん」
何度か、ぎゅっと強いまばたきをする。
集中が切れると、ぎっしりと詰まった文字が、だんだん頭に入って来なくなる。
間違えて、何度も同じ行を目で追ってしまう。
(ね、むい……)
七海子は欠伸をして、睡魔に抗うように頭をぷるぷると振ったが、目の奥がじんわりと熱くなっていた。
小難しい文章を読み続けて、少々頭が疲れたようだ。
彼女は、何とか体を横にしないように柱に寄りかかったが、そこで力尽きて眠ってしまった。
本に指を挟んだまま、廊下に足を投げ出し、すうすうと寝息を立て始めた。



