『吾輩は猫である』は、猫の目から人間社会を観察した皮肉の物語だった。
主人に似顔絵を描かれて、しかもそれが似ていないなと冷静に思う猫。
知り合った黒猫にねずみ取りを自慢されて、ちょっと悔しくなってみたり。
下女が嫌いで、自分に名前が無い事にすこしの不満を抱きつつも、欲張るまいと無名の猫で通す。
何だか、意地を張っているようで、彼の諦めにはちょっと悲しいものがある。
決意とは違う、虚しさ。
分を弁えて、決して甘えず、けれどもひょうひょうとしている。
椎茸を食べて前歯の欠けた寒月君の自慢話と、それに相槌を打つ主人を眺めて、寒月君の残したかまぼこを食べたり。



