臆病者の鬼遊び




煮て食う。


――そうだ。


当時、料理と言えば、そんなものばかりだった。


特に炒める、という行為は、本当に近年になってからメジャーになったのだ。
 


以前、歴史の先生が、


「日本人が炒めたものを食べるようになった事には、団地が関係しているんだな。


それまで田舎にいた時は、燃料も水も無限にあった。


薪なんていくらでも用意できたし、水なんていくらでも井戸から汲めばよかった。


でも、団地暮らしとなるとそうもいかない。


毎月、使い過ぎればそれだけお金をとられる。



だから、時間のかかる煮物だのといったおふくろの味を、作るのは容易じゃなくなってきたんだな。


加えて、アメリカからフライパンというものが伝わってきた。


それが、当時のニーズにぴったり合った。というわけだ」



と自慢げに話していたのを思い出した。