「ああ。……前に言っただろう?
俺は、鬼と同化してるって。
……そいつが、俺が油断しているとすぐに、
体の奥底にある暗いぬかるみから、這い出して来やがる。
体の主導権を取り戻そうと、して……」
倫太郎は、深く息を吐いた。
七海子は改めて、倫太郎とは不安定な青年であるのだと思い直した。
どうやら、彼は常に戦っているようだ。
いつもうんざりしたように不機嫌なのも、戦いに疲れているからなのかもしれない。
自分の中にもう一つの意識があるというのは、どういう気分なのだろう。
自分だったら耐え切れないと、七海子は思う。



