臆病者の鬼遊び




倫太郎の角が、わずかに赤みがかっているのだ。
 


透明なガラスのような二本の角の中に、ゆらゆらと赤いものが見える。


炎の色より、もっと深い赤だ。


薔薇のシロップが水の中に溶けていくような、そんな感じだった。


しかし、その色は決して甘いものではなく、


どちらかというと胸がざわつくような、不吉な揺らぎ方をしていた。
 


不意に恐ろしくなって――しかし七海子は逃げるどころか、真逆の行動をとった。



 
彼の角を、思い切り掴んだのである。