臆病者の鬼遊び




食器洗いを中断し、タオルで手を拭きながら居間に行くと、


「倫太郎君、お風呂が……」
 

彼は目を閉じ、こくり、こくりと舟を漕いでいた。
 

珍しい……!
 


しかし、居眠りをしている間でさえ、彼は何だかちょっと不機嫌そうな表情だった。


眉間にぎゅっとシワが寄っている。
 


こんな時くらい、安らかな顔をしていればいいものを。


それに、心なしか冷房が利きすぎているような気もした。


半袖のTシャツから覗く腕が、わずかに粟立つ。



倫太郎が風呂に行ったら、さっさと止めてしまおうと思った。
 


七海子は傍らに膝をつき、倫太郎をゆすった。


「起きて、お風呂汲めたよ」