臆病者の鬼遊び




彼には、片眼が無い。


無い方の目には、黒い眼帯をしている。


気合いを入れている時、その眼帯は伊達政宗よろしく刀の鍔を模したものになるが、


今日はオフの日らしく、眼帯は布製だった。


花代は、それがまだ血のにじむ包帯だった時の事を思い出した。


この目は大昔、才蔵が花代を守るために鬼に奪われたものだった。


あの時、……すこしでも調伏の力があったら、こんなことにはならなかったのにと、当時は随分泣いた。


戦えない事が不甲斐なくて、花代は自分が無力なのだと思い知った。


それに比べれば、七海子は贅沢だ。


戦う力を持ちながら、戦闘を拒むなんて。


だけど、花代は七海子が可愛かった。


七海子を、危ない目になんて遭わせたくないと思っている。


鬼退治なんか、本家や分家のむきむき共がいくらでもやればいい。


今時、女子供を駆りだしてこき使うなんて、ナンセンスだ。