「当たり前だ。
お前だって、彼女の本当の『力』を知っているだろう?
鬼調伏の、木崎家の者にしか継がれない力だ」
それは、鬼の角を握り込んだだけで、鬼を祓う特別な能力の事だった。
七海子はすこし勘違いをしているが、この能力は今や、木崎家でもほんの一握りの人間にしか発現していない。
誰にでも可能なわけではない。
「……分かってるわよ」
花代は、険しい顔をした。
目を伏せ、ぎゅっと唇を噛む。
「……ほんっとうに皮肉だわ。
よりにもよって、一番戦闘向きじゃない、しかも女の子に出るなんて」
「ああ。その上、七海子は足が不自由だ。
……過激な意見としては、彼女の片腕なりを切り落として、
『使え』ばいいだなんて事をほざいた奴もいる……」
花代が、急に立ち上がった。
がたんとテーブルが揺れ、お茶が引っ繰り返った。



