反抗期に関してはとっくに終わっていると思うが、確かにそれには一理あった。
「だから、安心しろ。
この件は、倫太郎にも暗に仄めかした程度だ。
七海子には、一切この事は話しとらん。
……まあ、彼女に悪い蟲がついて、無闇に食い散らかされるよりはいいかな、という計らいだよ」
「う……そう言われちゃうと、何も返せなくなっちゃうじゃない」
花代も花代で一応、七海子がどこぞの馬の骨とも知らぬ男の思うがままになるよりは、という気持ちもある。
「……でも、まだ早いわよ。
あの子の心はまるで小学生なんだから……」
花代は、七海子の笑顔を思い出した。
人を、心の底から信じ切って甘えている、悪意も作為もない、純粋な笑顔。
しかしあんなふうに笑えるのは、世の中の事を知らなさすぎるせいでもあるかと思う。
穢れを知らない。
そう、これに尽きる。
七海子は人見知りもするが、一度気を許した相手は、とことんまで信用してしまう。



