花代さんが時々家を開けることはこの界隈では有名だったので、それは分かった。
その間、七海子が寂しがって本当に泊まりに来た事も、何度かあった。
しかし、今回は倫太郎がいる。
つまり、一つ屋根の下にうら若き男女が二人っきり、という事である。
仮にも従兄とはいえ、うん、確かにそれはまずい。
だが、七海子は何やらひどくうろたえていて、悩んだ末に、急にお願いを変えた。
「ごめん、やっぱ、まっちがうちに来て!」
「あ、いいよ」
七海子は、心底ほっとしたように、顔を綻ばせた。
まっちは、その顔を見て嬉しくなる。
それに、興味もあった。
七海子の家には遊びに行ったことがあるが、泊まりに行くのははじめてだ。
勝負は、まだまだこれからだよ……!
まっちは密かに倫太郎を見つめて、闘志をめらめらと燃やした。



