彼女は、理由もなしに他人を敬遠するような人間ではなく、またそういった態度をとる人間を憎んでいた。
そして、自分より気持ちや力が弱い人間を慈しみ、大切にしたいというまっすぐな感情を抱いていた。
よって、七海子を自分の妹のように可愛がっていた。
それが、突如として現れた謎の転校生の存在によって、なんだかこれまで保っていた均衡が崩れつつあるのである。
転校生は威張りくさっているし、七海子は何故か舎弟のように扱われ、可哀想でならなかった。
だから、極端に言えば、今日は倫太郎を成敗してやる、くらいのつもりでいた。
しかし、七海子の言葉の通り、倫太郎は思っていたほど怖い人間ではなかった。
どんなゲームをするにもとろい七海子をからかったり、ゾンビに怯えて撃てないと本気で喚く彼女に、
「練習だと思って撃て!」
と訳の分からない応援をしたり、
あるいは音ゲーについていけないくせに夢中になるあまり、両手に豆を作ってしまった彼女のバチを取り上げて、
貸せ、太鼓はこう叩くんだ! とお手本を見せたりと……。



